SERC(Software Evolution Research Consortium)

Cグループ 2016

Cグループ:「10年後のソフトウェア保守を考える」

リーダー:伊藤 順一(中央コンピューター株式会社)

サブテーマ):ソフトウェア保守プロセス標準化に向けた取り組み

 Cグループでは、「10年後のソフトウェア保守を考える」をメインテーマ、「ソフトウェア保守プロセス標準化に向けた取り組み」をサブテーマとして、ソフトウェア保守の研究を続けています。

 4年前、定年を迎えるベテラン保守技術者からの問いかけ、「10年後のソフトウェア保守を考えたとき、情報技術が急速に発達している中でソフトウェア保守を行なっている若手保守技術者に、ベテラン技術者は何を伝承・継承しておく必要があるのか?早く確実にするにはどうすればよいのか?」から研究活動がスタートしました。

 若手保守技術者に知識や技術を早く確実に伝承するためには、ソフトウェア保守の標準化を進めることが効果的であることを知り、標準化を進めるためには、保守現場の状況を可視化する必要があると考えました。可視化を進めるために、JIS規格である「ソフトウェア技術-ソフトウェアライフサイクルプロセス-保守JIS X 0161:2008」を基にした、ソフトウェア保守プロセスチェックリストの作成に取り組むことになりました。

 Cグループでは 、JIS規格の保守プロセスにある6つのアクティビティを毎年1つずつチェックリスト化し、研究員の保守現場でのチェックリストの適応評価を行なっています。

 今までに、JIS規格の1番目のアクティビティである「プロセス実装」について、68項目のチェックリスト、2番目のアクティビティである「問題分析及び修正の分析」について、40項目のチェックリストを作成してきました。

 今年度の研究活動は、昨年度から取り組んでいる3番目のアクティビティ「修正の実施」と4番目のアクティビティ「保守レビュー及び受入れ」のチェックリスト化に取り組みます。「修正の実施」は「開発プロセスを修整」しソフトウェアの保守開発を行なうことになるため、開発プロセスのアクティビティも一部チェックリストに反映することを考えています。

 チェックリストは一般的には、ミスを犯さないための消極的な手法だといわれています。しかし、Cグループが考案したチェックリストは、保守現場に新しい視点を与える積極的な内容となっています。JIS規格に定義されている項目だけではなく、研究員の保守現場での実例も合わせて議論し解釈を加えることで、保守現場のソフトウェア保守プロセス標準化に役立つチェックリストを目指して行きます。

 若手保守技術者への知識や技術の確実な伝承・継承にお悩みの方、ソフトウェア保守の品質向上や生産性向上に興味のある方の参加をお待ちしております。


詳細は、SERCキック合宿_C-Group発表資料.pdfを参照ください。